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取材日:2005年7月15日
二人立ちの獅子 熱湯の中に熊笹が 七五三を正しく踏んで舞う獅子

<無形民俗文化財情報>

<名称>湯立獅子舞(ゆだてししまい)

<種別及び指定日> 国選択無形民俗文化財(選択日1974年12月4日)

             神奈川県指定無形民俗文化財(指定日1976年10月19日)

<所有者・管理者>宮城野獅子舞保存会

<問合せ先>
箱根町観光部観光振興課 TEL 0460(5)7410 http://www.hakone.or.jp/town

<出版物>調査中

   

<公開情報>

<公開日>毎年7月14日は宵宮です。おかがりの舞(18時ごろから)と辻締めの舞(19時ごろから)等が公開されますが、湯立の舞で

はありませんのでご留意ください。
毎年7月15日が天王祭です。早朝5時より十二舞、神事は午後1時から始まります.。

午後4時より、湯立の舞(平舞、行の舞、宮めぐりの舞、三本剣の舞、釜の舞、四方固めの舞)が公開されます。

<公開地>神奈川県足柄下郡箱根町宮城野、諏訪神社境内

<交  通>箱根登山鉄道箱根湯本駅から箱根登山バス湖尻桃源台行きで約20分、宮城野で下車し徒歩10分

<駐車場>15台程度の無料駐車場があります。

<食  事>弁当持参が良策です。


<温  泉>木賀温泉、強羅温泉が近くにあります。

<宿  泊>上記温泉に宿泊できます



<湯立獅子舞の内容説明>

 毎年7月15日には、宮城野の「天王祭」があります。鎮守の森、諏訪神社の境内にある須佐之男命(すさのおのみこと)を祀る津島神

社(天王社)の祭りです。天王社は、牛頭天王を祀る社として仰がれました。これは元来、農業神である須佐之男命の神格に習合、転

化したもので、古く平安の頃から人々の身に起こる災厄や疫病除けの神としての信仰されました。

7月ごろは、天候が不順で疫病も流行りやすく、また稲の生育にとっても大事な時期であるので疫神送りや虫送りの行事が盛んに行わ

れてきました。この頃に行われる湯立獅子舞は、悪疫退散、五穀豊穣を願う厳重な祓えの信仰行事として意義深いものがあります。

箱根町宮城野に伝わる獅子舞は、獅子が湯立をするという、全国でも稀な神事芸能であることから国選択無形民俗文化財に

選択され、二年後には神奈川県指定無形民俗文化財となりました。箱根に湯立獅子舞が伝えられたのは1776年で、下吉田村

の萱沼儀兵衛という人が、仙石原に教えにきたということが記録に残っています。

宮城野にも同時期に伝えられました。14日は宵宮です。夕闇が諏訪神社の境内を包みはじめる頃、「おかがりの舞」が奉納

され、続いて宮城野のはずれの板里、二ノ平、木賀の3ヶ所の辻で、悪霊が入り込まないようにと「辻締めの舞」が厳かに

闇の中で舞われます。

その夜は、神社境内にかがり火を焚き、そのままお籠りをします。食事は別火潔斎でニギリメシとタクアンだけ。

そして、全員白の行衣で下モテの滝まで水垢離を取りに行く。これは、一度や二度でなく15日の昼まで都合12回も水垢離

を取って心身を清めます。
真夜中には、村内数ヶ所の入口で獅子を舞い御幣を立てて辻を締める。全部の辻が締め終わる頃

には、東の空は白みはじめている。獅子は休む間もなく次の十二社の獅子舞奉納を行います。まさに荒行である。

15日、神社の一角に4本の青竹が立てられしめ縄が張られる。その真中に3本の石棒を足に大釜がのせられ、清水を満た

し、火がつけられる。拝殿の中では「平舞」から始まって狂い獅子が舞われるにつれて次第に皆が興奮してくる。

獅子は、さっと拝殿から神庭に降り立ち、「宮めぐりの舞」が始まる。右手に鈴、左手に剣を、後役に獅子の衣の後ろを持

たせた獅子が、七五三の歩数を正しく踏んで拝殿の周りを一周する。

 大釜の清水は何時しかシュンシュンと湯玉を跳ね上げている。湯立ちの行の始まりだ。

釜火が剣で清められ、三本剣の舞、釜の舞、四方固めの舞とすすんでいく。

獅子は、手にした御幣をぐっと熱湯の中に差し入れて2度かき廻してためす。今度は、天王社にささげられた熊笹の束に持

ち替えて熱湯の中でかき廻し、その湯花を諏訪社のすぐ左隣にある天王の祠に献じる。

このようにして全部の祠に湯花を献じ終わると、今度は参詣者の頭上に湯花が振りかけられる。

湯花を浴びると健康に過ごせるという言い伝えがあるからです。

湯花が霧のようになり、一瞬あたりはもうもうと湯気が立ちこめる。これが終わると同時に忌竹は除かれ、火は消され、瞬

時に片付けが終わります。獅子は、再び拝殿に上がり収めの舞を舞い踊る。

                                (宮城野獅子舞保存会刊のパンフより一部抜粋)



<NIA取材記>

「湯立獅子舞」は、2005年7月15日に撮影しました。地域に根ざした古き良き伝統がしっかり残されていて、終わった時、思わず拍手し

称えたい気持ちを禁じ得なかった者は私だけではなかったらしく、参詣者の皆さんの惜しみない拍手が止みませんでした。

昔から、舞手は宮城野村内のしかも長男に生まれた者だけしかなれないなどという決まりがありました。これは、この獅子舞の行の秘

伝が他に漏れるのを恐れた為ともいわれています。事実、肝心な法言などは、前夜になって初めて先輩から口伝されます。

舞の稽古はとても厳しく、七草の日から寒稽古が始まります。獅子頭はかなりの重量があります。それを内部で歯で噛んで固定しなが

ら舞うわけです。

しかも、石段を駆け下りたり熱湯もあります。一瞬でも気を抜けば大事故を起こす危険性があり、それゆえに普段の稽古が厳しいもの

となります。

                                                                          理事長


拝殿で舞う獅子 前庭で舞う獅子 湯花をかける瞬間
   
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